入れ歯

最近は歯科の世界でのインプラント治療の台頭が目覚ましく、入れ歯は少し控えめな存在になりつつありました。

しかし、私はこの義歯(入れ歯)治療が大好きです。実は入れ歯の作成過程では、型採り、噛み合わせ、自然なまたは美しい歯並び、お口周りの若返り術、顔貌・表情形成の一助など、また、お客様とのコミュニケーション能力など、歯科医師としての技術、知識、経験、センスが大いに発揮できる分野だからです。
また、入れ歯は設計により、部分入れ歯であっても残存歯への負担を軽減するばかりか、動揺していた歯をかみ合わせの再構成により、正常歯に戻すことさえ可能です。もちろんインプラントを否定してはいません。私はむしろかつてはインプラント専門に臨床を行っていましたし、酸いも甘いも患者さまとともに経験いたしました。要は患者さまの身体のこと、気持ちのこと、経済状況のこと、口腔の状態等々を鑑み、適応症を判断すればよいのです。

また日本には幸いまだ素晴らしい腕を持つ歯科技工士が存在いたします。その技術者と組むことにより、入れ歯は痛くて噛めなくて、人前で外れてしまうかも、などという次元のものではなくなるのです。
私の義歯の作り方はコンプリートデンチャー(診査用義歯)や現在お使いの入れ歯のコピー(コピーデンチャー)を用い、診査や改良を施しながら実際に日々ご使用いただき、その中で安定した状態に達してから最終的な本義歯(仕上げの入れ歯)を作成させていただく方法です。ゆえに少々私とのお付き合いの時間とお日にちを頂きます。もちろん入れ歯が今日からはありませんよ、などということはございませんが、ご納得いただき、長く安心してお使いいただける義歯を作成するには必要な時間を拝借いたします。是非楽しんでお通いください。

先にも触れましたが、日本の技工士さんたちはまさに職人技と知識を持ち合わせていますので、ご希望であればピンクの床と呼ばれる歯茎の部分に毛細血管が浮かび上がるようにみえる細工なども施せます。時間とお金も掛ける自由診療の入れ歯(義歯)ですので、ぜひご一緒に個性のあるあなたにフィットした入れ歯を作製いたしましょう。

「インプラントを応用した入れ歯」

入れ歯の下にインプラントを2か所植立し、アタッチメントという入れ歯を支えて動かないような装置を組み込むことでさらに安定し、噛んでも沈まない義歯を作製することもできます。多数歯欠損症例でのインプラントの使用例としてはグローバルスタンダードといわれています。日本では先進医療に触れる機会も多く、この設計以上にインプラントを多用しがちでしたが、今後の歯科診療の流れとしては、口腔衛生状態を保ちやすいこの設計がさらに選択されていくだろうと私は考えています。